◆村上記念病院糖尿病新聞 2012年2月23日発行
脂質異常症の薬について
村上記念病院 薬局

1.脂質異常症って何?高脂血症??

脂質異常症には主に3タイプあって
LDL(悪玉)コレステロール【増えすぎると動脈硬化を促進】が140mg/dl以上の場合・・・高LDLコレステロール血症

HDL(善玉)コレステロール【多いと動脈硬化を予防】が40mg/dl未満の場合・・・低HDLコレステロール血症

中性脂肪が150mg/dl以上の場合・・・高トリグリセライド血症 といい、またこれらが混合している場合もあります。 善玉コレステロールが少なすぎる場合も含まれるので、「高脂血症」と呼ぶのは適切でないことから、 2007年より「脂質異常症」に名称変更されました。

2.脂(あぶら)って悪者??

体内には4種類の脂質がり、脂質異常症で問題になるのは中性脂肪とコレステロールです。
悪者と思われがちですが必要不可欠なものです!!
中性脂肪・・・体脂肪として蓄えられる。「エネルギーの貯蔵庫」
コレステロール・・・身体を作る「原材料」細胞膜、ホルモン、胆汁などの材料になる


3.動脈硬化性疾患は1つの病名じゃない、日本人の死因割合の1位がんに匹敵

動脈硬化が起こる場所(血管)によって様々な病気になります。

  • 脳―脳梗塞、脳出血
  • 心臓―心筋梗塞、狭心症
  • 足―閉塞性動脈硬化症

4.動脈硬化の「危険因子」は悪玉コレステロールが多すぎる以外にもいろいろ

  • 加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)
  • 糖尿病やその予備軍である
  • 高血圧である
  • たばこを吸っている
  • 心臓病を起こした家族がいる
  • 善玉コレステロールが少ない

4.薬は主に2種

主にコレステロールを下げる薬
  • スタチン系
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬…小腸でコレステロールの吸収を抑える
  • 陰イオン交換樹脂…胆汁酸を吸着して、腸から再び吸収されるのを抑える
主に中性脂肪を下げる薬
  • フィブラート系
  • ニコチン酸誘導体…ビタミンの一種で、肝臓でトリグリセライド(中性脂肪)の分解を促進
  • イコサペント酸エチル…主に中性脂肪を下げ、血液をサラサラにする
副作用―横紋筋融解症とは?

ごくまれに筋肉が融解、壊死することによっておこります。〈症状〉手足に力が入らない、尿が赤褐色になる、体がだるいなど これらの症状が現れた場合はお知らせ下さい。

5.服用時の注意点

・自己判断で薬をやめない
検査値を見て勝手に薬の量を変えたり、服用をやめたりすると、たとえ一時的に検査値が正常に近づいたとしても、 それは薬の効果によるもので、薬をやめれば元に戻るケースがほとんどです。
・ 副作用チェック
副作用の症状は薬の種類や個人の体質によっても異なります。おかしいと感じたらすぐに通院して、先生に相談しましょう。
・ 他に飲んでいる薬を知らせる
薬は他の薬と一緒に飲むことによって副作用が現れやすくなったり、他の薬の効き目を弱めたりします。 他の薬を処方されている場合は、かかりつけの先生に相談することが大切です。


脂質異常症の薬は長期間飲むことが多く、生活習慣の改善も継続していくことが重要です。元気な生活を長く続けていくために、気長に根気よく取り組んでいきましょう。


村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
前へ戻る次へ