◆村上記念病院糖尿病新聞 2007年3月9日発行
あなたの歯は大丈夫ですか?
いつまでも元気な歯で!
3F看護師
☆痛くなければ歯は健康?
 「あなたの口の中は健康ですか」と聞かれたら、どのように答えますか? 「痛いところはないから大丈夫」、「少し痛い歯があるけど、まだ歯科医に行くほどでは…」など、いろいろな答えが予想されます。でも、本当に「痛くなければ健康」なのでしょうか。実は、専門的に調べると、35歳以上の人の約80パーセントに歯や歯茎〈はぐき〉に病気のあることがわかっているのです。

☆歯の役割
 食べた物が最初に通過する消化器官です。よく物を噛み砕かないと胃や腸に負担がかかります。あと、歯が少なくなると楽しい食事ができないばかりか、発音がしにくいため口数が減りがちになり快適な日常を損なうのです。

☆虫歯と歯周病
 歯の病気の大部分は、虫歯(う歯)と歯周病〈ししゅうびょう〉(歯槽膿漏〈しそうのうろう〉)の二つで占められます。この二つとも、歯や歯と歯肉の間にこびりつく歯垢〈しこう〉(プラーク)と呼ばれる物質が原因です。
 歯垢には何種類もの細菌が増殖しています。細菌の出す酸が歯の表面を溶かしてしまうのが虫歯で、細菌の毒素が歯肉〈しにく〉(歯茎)に入り込み炎症を起こすのが歯周病です。
 虫歯や歯周病は、どちらも治療しないでいると歯が抜け落ちたり、抜歯しなければならなくなります。とくに虫歯と違い歯周病は、ほとんど痛みがなく進行するので注意が必要です。
歯と歯周組織の仕組み虫歯・歯周病の症状


☆糖尿病と歯の関係
 口の中は、血管が密集しているので高血糖の影響を受けやすいのです。糖尿病の人はそうでない人と比べ歯周病になる危険性が2.32倍高いといわれています。

☆糖尿病で虫歯や歯周病に起こるのは…
血流が悪くなる
白血球機能が低下する(とくに1型糖尿病で)
唾液や歯と歯肉の間からの滲出液〈しんしゅつえき〉中の糖分が高くなる
唾液が減り、口の中が乾燥する
 これらは、虫歯や歯周病を起こす細菌が繁殖しやすい環境を作り出します。
 また、歯周組織を修復するコラーゲン代謝機能に異常が起き、歯周病が進行しやすくなります。

☆歯磨きのポイントは
・食べたら磨く。口の中を清潔に
・物理的に歯垢を取る
・歯磨きとは「歯の間磨き」
・歯磨き剤の清涼感に惑わされない

☆歯は早期治療が大切
 健康な人でも早期治療が大切ですが、糖尿病があると虫歯や歯周病の進行が速くなります。異常を感じたら、痛くなくても早めに受診しましょう。とくに、痛みがなくても進行する歯周病に気をつけましょう。
村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
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