◆村上記念病院糖尿病新聞 2005年5月18日発行
脳のライフライン、脳血管
脳神経外科 藤田仁志

ライフラインとは、いわゆる生命線です。
私たちにとっては電気、ガス、水道、電話、食糧流通など生命、生活を維持していく上で大切なもので、これらを運んでくれるラインがあるから生命が保たれているといっても過言ではありません。


では・・・脳のライフラインとは?

  エネルギー(電気・ガス・食料)、水(水道)、酸素などを
  運ぶ役割をするのは脳で言えば脳血管です。

心臓から脳には図のように動脈が流れ、生命維持に大切なラインがあります。
この血管が障害されると脳卒中を引き起こします。
これには、原因により脳梗塞(のうこうそく)と脳出血にわかれます。
脳梗塞には、動脈硬化により脳血管が詰まってしまうもの、心臓などで出来た血栓が脳に運ばれておこるものがあります。
脳梗塞がおこると、発生の場所によって言葉が出なくなったり、目が見えにくくなったり、手足が動きにくくなったりします。   
脳卒中をおこす原因の一つとして今、「生活習慣病」が注目されています。
生活習慣病は、毎日のよくない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気です。
これには、「脳卒中」「糖尿病」「心臓病」「高脂血症」「高血圧」などがあります。

生活習慣病の進行とは・・・
 (1)不適切な食生活、運動不足など不健康な生活習慣
 (2)肥満、高血糖などの予備群
 (3)メタボリック症候群を含む生活習慣病
 (4)脳卒中、糖尿病の合併症などの重症化
 (5)半身まひ、認知症(痴呆症)などの要介護状態

 




メタボリックシンドローム・・・

 内臓脂肪の蓄積によりさまざまな病気が引き起こされた状態をメタボリックシンドロームと
よびます。
「メタボリックシンドローム」という新たな概念の病気ととらえた診断基準を日本高血圧学会、
日本肥満学会などが合同で作成し、発表されました。
内臓脂肪型肥満を簡単に調べられる方法として、ウエスト径が男性で85センチ、女性で90
センチ以上であり、以下の症状が重なるとメタボリックシンドロームと診断されます。

(1)最高血圧が130以上かつ、または最低血圧が85以上
(2)空腹時の血糖値が110以上
(3)中性脂肪が150以上かつ、または善玉コレステロールが40未満
     の3項目のうち2つ以上が該当する場合。

 

内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、血液を固まらせて血管を詰まらせたり、血圧を上昇させる成分が多くできます。それによる動脈硬化で心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
一つ一つの症状は深刻でなくても、重い病気につながりかねません。



運動を行い、食事の内容を見直し、禁煙をして、生活習慣の改善を!

ひとつしかない
ライフラインを保ち、
大切に使って下さい。

 

 村上記念病院糖尿病チーム

村上記念病院
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