◆村上記念病院糖尿病新聞 2013年10月18日発行
アルコールについて
 

急性アルコール中毒とは、体や脳が「これ以上飲むと危険」という信号を発する機会のないままに、ほろ酔いやいい気分を飛び越して一気に脳が麻痺してしまうこと。ひどい場合は昏睡状態や死に至る危険が出る。

イッキ飲みをして、急激かつ大量にお酒を飲むと、血中アルコール濃度は急速に高まり、イッキ飲みはきわめて急性アルコール中毒を起こしやすく、しかも、イッキ飲みをしてから、実際に酔いのピークがやってくるまでには時間がかかるため、飲み終わった後にまだ大丈夫だと思って飲み続けていることが危険。

 

 

■「適量」とは

適量には個人差があり、同じ人であってもその日の状態によって酔い具合が異なるため、一概にいうことはできない。社団法人アルコール健康医学協会では、一般的に、約1〜2単位のお酒を限度とするようにすすめている。純アルコール量にして約40〜50g。このくらいの量であれば、ほどよくお酒を楽しめる。

お酒に弱い人や女性であれば、この基準よりも少なめを適量と考えるべきである。

 

■アルコールが分解される仕組み

お酒の主たる成分はアルコールと水。お酒を飲むと「酔った」状態になるが、このとき体や脳に影響を与えているのはアルコール(エタノール)。お酒を飲むと、アルコールは血液に溶け込んで肝臓に運ばれ、処理される。肝臓が処理できるアルコールの量には個人差があるが、体重60〜70kgの人で、1時間に5〜9gくらい。

 

■酒類別の1単位

1単位とは、純アルコールに換算して約20〜25gのお酒のこと。

 

■週に2日は休肝日を

適量とはいえ、毎日飲むことは肝臓に負担をかけてしまう。週に2日はお酒を飲まない日を設けて、肝臓を休ませることが必要。
しかし、休ませたからといって、ほかの日に大量飲酒をしてしまっては元の木阿弥。普段から適量の飲酒を心がける必要がある。

■お酒は薬ではありません

寝酒はナイト・キャップともいわれ、睡眠薬代わりに使われることがある、むしろ眠りが浅くなって夜中に目を覚ましたり翌朝早くに目が覚めてしまうなど、睡眠の質が落ちることがわかっている。お酒は、寝る前ではなく夕食時(眠りにつく3時間前までに飲み終えることが望ましい)に、食事といっしょに楽しむのが良い。

 

■「健康日本21」における適度な飲酒

厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされている。また、以下のようなことに留意する必要がある。

1.女性は男性よりも少ない量が適当である
2.少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能力を有する人よりも少ない量が適当である
3.65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である
4.アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
5.飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない

 

参加者からの質問と回答や意見

*不整脈や高血圧あるが、お付き合いでのむのは?→口に含むくらいなど、体の負担にならない程度に。
*甘酒やタフマンは?→アルコールでないので大丈夫です。
*お酒を飲むと強くなる?→アルコールの耐性がつく、飲めるようにはなるが、体には負担がかかっている。
*焼酎をヨーグルトで割るのは?→良いと思う。胃も保護するので先に食べたり、飲んでみては?
*飲んだ後、水をがぶがぶ飲むのは?→分解時水が必要。脱水になるので水分は摂ってください。

*痩せているけど、コレステロールや血糖が高い。ワインは度数があまりないのかと思い、外国では水の方が高いから水代わりに飲んでいたが気を付けます。
村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
前へ戻る次へ