<いびきが起こる原因>
鼻や口から入った空気が咽頭を通る時、軟口蓋やのどの粘膜が震えることでいびきがおこる。
肥満になると舌や軟口蓋が肥大し、空気の通り道が狭くなる。睡眠状態に入ると全身の筋肉が弛緩し、のどの筋肉も緩む。あおむけの姿勢では舌根が垂れ下がり、空気の通り道を塞ぎ、無理に空気を通すため、大きないびきが起こる。
<さらに進むとどうなるの?>
- 睡眠中に何度も空気の通り道が塞がり、いびきは止まるが呼吸も一時的に止まる。
- 呼吸が止まった状態は10秒〜20秒間ほど続くが長い場合は1分間続くこともある。 その後大きないびきとともに呼吸が再開。大きないびきと呼吸のとまった状態を1晩中に何度も繰り返し起こすことを睡眠時無呼吸症候群(SAS)という。
- 呼吸が止まると酸素不足になり、酸素を取り入れようとして脳が目覚める。眠中何度もその状態が続くと、睡眠の質が低下し、昼間仕事や自動車の運転中に「強い眠気」や「だるさ」などが起こる。
無呼吸・・口、鼻の気流が10秒間以上停止した状態
低呼吸・・10秒間以上、口と鼻の気流が通常の呼吸時より50%以上低下し、かつ酸素飽和度が
通常より3%以上低下した状態の事
<原因>
SASの男女比は約6対1(特に40〜60代の男性に多くみられる)
→ 男性は「腹式呼吸」の人が多く、息を吸う力が強い為、呼吸しづらくなった時に息を
吸う力をより強める。この時、いびきやSASが起こる可能性が高くなる。
→ 多くの女性は「胸式呼吸」。呼吸しづらくなった場合、呼吸の回数をふやすことで
上手に酸素を取り入れる。
・女性の中でもSASを起こす人にはあごが小さく、歯並びが悪い、噛み合わせが悪いこと、子供のころから扁桃肥大や鼻詰まりがある場合に肥満が重なると、SASが起こりやすいと考えられている。
<睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなるの?>
- 特に循環器系が酸素不足の影響を受けやすく、放置すると血液が濃くなって固まりやすくなるため「高血圧」「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」など、命にかかわる病気を引き起こすことにもつながる。
- 病気以外にも、昼間の眠気が起こす、居眠り運転事故も大きな問題となっている
<睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合>
当院では内科が窓口。
診察時いびきや呼吸の様子、昼間の眠気、肥満の状態等について問診。就寝中の様子がわかる家族がいれば同行して頂くか、事前に聞いておきましょう。問診でSASの可能性があると判断された場合、検査としてパルスオキシメーターの簡易検査が行われる。
<パルスオキシメーターとは>
血液中のヘモグロビンが酸素とどの程度結びついているかを示す動脈血酸素飽和度をはかるもので、寝る前爪に装着し、つけたまま眠る。自宅でもおこなえる簡単な検査。
→ SASなら治療へ
→ 断定できないなら
「ポリソムノグラフィー(PSG)検査」へ
<ポリソムノグラフィー(PSG)検査とは>
1泊入院し、頭、顔、腹などに電極を付け、睡眠中の脳波、呼吸状態、酸素飽和度、胸腹部の動き、心電図、眼電図等を測定する検査。SASの重症度AHIや治療法を決める為に必要
AHI(1時間あたりの無呼吸と低呼吸の数)
正常 : 5回以下
軽症 : 5〜15回
中等症 :15〜30回
重症 :30回以上
※PSG検査でAHIが20以上の人が、
積極的治療の適応となる
<C-PAP治療とは>
SASの中心となる治療法で、寝るときに鼻にマスクをつけ、装置から持続的に空気を送り込み、圧力をかけて気道を閉じない様にするもの。
<睡眠時無呼吸症候群の主な治療法>
- 減量する。
- C-PAP治療:毎晩行うことが大切。
- スリープスプリント療法:寝る前にマウスピースを口の中に入れて眠る。下あごを少し前に突き出して固定する治療法で、咽頭が広がることでいびきや無呼吸が軽減。
日常生活での注意
減量する / 飲酒などを避ける / 横向きに寝る
睡眠時無呼吸症候群は珍しい病気ではありません。
病気を理解し、早く見つけて、正しい治療を受ければ
生活の質も向上することでしょう