◆村上記念病院糖尿病新聞 2011年10月14日発行
ドライアイってどんな病気?
講師:愛媛大学病院・村上記念病院 眼科 山口昌彦先生

ドライアイとは、涙の量や質が変化して角膜や結膜に傷がついてしまう病気です。
別名、乾性角結膜炎、眼乾燥症、涙液分泌減少症などと言われますが、これはシェーグレン症候群を意識して考えられた病名で、 近年、シェーグレン以外にもいろいろなタイプのドライアイがわかってきました。(※シェーグレン症候群:涙腺や唾液腺が自己免疫疾患によって傷害され、涙や唾液の量的な減少をきたす病気。)


ドライアイの仕組み


◆涙液の基礎知識: 涙液分泌には、反射分泌(主涙腺)と基礎分泌(副涙腺)がある。


【役割】 @異物洗浄 A殺菌作用 B角膜の形成 C角膜への酸素や栄養を供給
                               (角膜は血管のない組織なので。)
【構造】 油層、水層、ムチン層(粘液)の3層構造で角膜上皮を覆っている。


涙液の基礎知識


◆ ドライアイの症状: 目が乾く、目が疲れる、目の奥が痛い、コロコロする、かすむ、目やにが出る、
   目が赤い、など不定愁訴的なものが多く、ついつい軽視しがち。


◆ ドライアイの診断手順:
        問診→スリット検査1→涙液検査→スリット検査2→血液検査
   血液検査では、シェーグレン症候群に対する検査をします。
   自覚症状、涙液異常、角結膜上皮障害の3つ全て当てはまると、確定となります。


◆ 日常診療でよく見かける2つのタイプ: 
   @涙液減少型(シェーグレン症候郡)
   A蒸発亢進型(涙液層破壊時間短縮型。コンタクトの人に多い。涙液が十分量出ても、
   パソコン作業やクーラーによる乾燥などの環境により涙が早く蒸発してしまう。)


◆ 治療:主に点眼薬。眼を覆って乾燥や涙の蒸発を防ぐ眼鏡様のものもある。
   シェーグレン症候群など重度の場合は、口腔内乾燥用の内服薬を用いる。
   涙液排出口を塞ぐなどの手術もある。


ドライアイ患者は増加してきている

日本では企業の調査により、VDT作業従事者(パソコンや印刷物をずっと見るような仕事)の約30%がドライアイであるとわかりました。
VDT作業に伴う眼症状=IT眼症とも言われます。
原因:@調節障害(近方視から遠方視への移行がスムーズにいかない)
Aドライアイ


〜まとめ〜

ドライアイは失明につながる疾患ではありませんが、機能的な失明に陥る場合もあり、QOL(生活の質)の低下に繋がります。 私たち現代人を取り巻く環境から、今後さらに増加することが容易に予想されます。眼科では、VDT作業従事者の眼症状において、ドライアイという病気を想起しながら治療にあたっています。


ドライアイについての講習会

村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
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