◆村上記念病院糖尿病新聞 2011年8月26日発行
高血圧のくすり
村上記念病院 薬局

高血圧とは・・・

血管が狭くなり、血液の勢いが強くなるため、血管にかかる圧力が高くなること。
収縮期血圧140mmHg、拡張期血圧90mmHg以上が高血圧と定義されています。


食事療法や運動療法だけでは、十分な効果が得られないこともあります。
そのようなときは、薬による治療を開始します。


降圧剤:血管を拡張させる薬

●ARB(アンギオテンシンU受容体ブロッカー)

血管を収縮させ、血圧を上昇させる働きのある働きのあるホルモンのアンギオテンシンUの作用を抑える薬です。また、それにより臓器を守る作用が認められています。

●ACE阻害薬

アンギオテンシンUが作られるのを抑えます。心臓や腎臓などの臓器を守る作用が国際的な大規模試験で認められています。乾いた咳が多少でやすいという副作用があります。

●カルシウム拮抗薬

血管を拡張させて、血圧を下げる薬です。脈拍上昇、動悸、顔のほてり、足のむくみなどが現れる場合があります。

●β遮断薬

心臓の緊張を抑えて脈を減らし、血圧を抑えます。喘息の悪化、徐脈になるといった副作用があります。


★血液量が増えて、血圧が高くなっている場合、降圧剤で血管を広げても効果がありません。
⇒このような場合、利尿剤が効果的です!!

《血液量が増える原因》

●塩分の過剰摂取

塩分を過剰に摂取し、血液の塩分濃度が濃くなるとそれを薄めるため水分が取り込まれ、
血液量が増えてしまいます。

●腎機能の低下

腎臓は身体の塩分濃度を一定に保つという大事な仕事を任されている臓器です。
腎機能が落ちた場合、うまく塩分を排出することができなくなってしまい、血圧が上がります。


利尿剤:尿の出る量を増やし、血中の塩分排泄を促進して、血圧を下げます。

単独でも用いられますが、他の薬とあわせて飲む場合が多い薬です。


※例えば、紅茶、コーヒーなど利尿作用があるものを飲んでもいいような気がしますが、腎臓から水分は出してくれますが、塩分は排出されません。そのため、血圧を下げる作用はありません。


★最近では、1剤で2つの薬の作用を併せ持つ合剤があります。
併せて飲み薬の数が少なくてすみ、コストが安価という利点があります。

合剤

■ARB+少量利尿薬

プレミネント配合錠、コディオ配合錠、エカード配合錠、ミコンビ配合錠

■ARB+カルシウム拮抗薬

ミカムロ配合錠、ユニシア配合錠、レザルタス配合錠HD、エックスフォージ配合錠

■ARB+スタチン

カデュエット配合錠


血圧を下げる薬にはいくつかの種類があり、それぞれの特徴があります。どのような薬を飲むかは、 医師が血圧値や体質に合わせて選びますが、薬が自分の体質に合わないと感じたら、気軽に相談しましょう。

≪薬を飲み始めたら一生やめられないの?≫

基本的には難しいです。ただ、生活習慣の改善が行われた場合にやめられる可能性もあります。
【高血圧につながる生活習慣病】肥満、塩分過多、運動不足、喫煙、ストレスなど

普段、高血圧の原因となることをしていないか見直してみましょう!!

≪高血圧はなぜ治療しなければならないの?≫

高血圧が続くと脳卒中や心筋梗塞、心不全などが起こりやすくなるからです。


心臓や脳、腎臓は一度壊れてしまったら元に戻すことができません。だからこそ、きちんと高血圧を治療しなければなりません。高血圧をきちんとコントロールすれば、これらの病気を抑えられることが、数多くの試験で確かめられています。


たばこ・禁煙についての講習会

村上記念病院糖尿病チーム
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