◆村上記念病院糖尿病新聞 2009年8月14日発行
生活習慣病と不眠
4F・5F看護師

<生活習慣病と不眠の関係> 
・糖尿病や高血圧などと不眠は相互に影響することが分かってきた
  生活習慣病と不眠とは、実は密接に関係しています。35歳から59歳までの会社員約6000人を対象にした調査では、糖尿病や高血圧、高脂血症がない人のうち、不眠の経験があるのは約26%でした。一方、これらの生活習慣病がある人では、約46%が不眠に悩んだ経験がありました。実際、生活習慣病があり、不眠に悩んでいる人は多く見られます。内科で治療を受けていても不眠が続いていて、精神科を紹介され、受診する患者さんは少なくありません。生活習慣病の中でも、特に糖尿病と高血圧は、不眠と深い関係があります。最近では、これらの病気の症状が不眠を起こすだけでなく、逆に不眠が病気に悪影響を及ぼすことも分かってきました。また、糖尿病や高血圧の人にも多い「肥満」は、睡眠障害を引き起こす「睡眠時無呼吸症候群」の原因となります。生活習慣病と不眠は相互に影響しあって、両方の病気を悪化させます。生活習慣病と不眠を併せ持つ人は、その両方を改善することが大切です。


<糖尿病と不眠>
・糖尿病の症状が不眠を招き、不眠が血糖値を上昇させる
  糖尿病のある人では健康な人に比べ、不眠に悩む人が2倍以上いる事が分かっています。その多くは、起床と就寝時間の睡眠のリズムや、食事をする時間が不規則といった、不眠を起こしやすい共通した生活パターンを持っています。

・ 糖尿病が不眠を招く
糖尿病があると、糖尿病の症状である「喉の渇き」や「夜間頻尿」、糖尿病性神経障害による「痛みや痺れ」、自律神経障害による「発汗異常」や「胃腸障害」などで、寝つきにくくなったり、睡眠中にめざめやすくなります。また、「血糖降下薬」や「インスリン」を使用している人では、「糖尿病への不安」と言った心理的要因が不眠を招く事もあります。

・不眠が血糖値を上げる
不眠は、それ自体がストレスになります。すると「コルチゾール」や「成長ホルモン」などのストレスホルモンが多く分泌されたり、神経を興奮させる働きのある「ノルアドレナリン」が多く分泌されます。これらの物質は血糖値を上げるように働く為、糖尿病の悪化につながります。実際に健康な若い人を対象にしたアメリカの調査では、睡眠時間を4時間に制限して人工的に不眠の状態にすると、それだけでも血糖値が上がるという結果がでています。又、健康な人でも、睡眠障害があると4〜5倍程糖尿病になりやすくなるとされています。

・ 肥満と不眠
「睡眠時無呼吸症候群」による血圧の上昇などを招きやすい
肥満があると、糖尿病や高血圧になりやすいだけでなく、睡眠中に呼吸が何度も止まる「睡眠時無呼吸症候群」を起こす危険性が高まります。睡眠時無呼吸症候群の人は高血圧や糖尿病を合併していることが多く、特に高血圧は約3〜4割の人が合併しているとされています。

・ 睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まる「無呼吸」を、何度も繰り返す病気です。「大きないびき」「昼間の眠気」などの症状があり睡眠中に10秒以上の無呼吸 呼吸量が半分以下に低下する低呼吸が1時間に5回以上ある、あるいは「無呼吸 低呼吸が一晩に15回以上ある」場合に、睡眠時無呼吸症候群とされます。

睡眠時無呼吸症候群に対する検査

・検査申し込みは内科外来で行います。
(1) ―いびき外来問診票の記入、身長体重測定後栄養課にてビデオ視聴します。
(2) ―簡易検査(スリープテスト)を行ないます。腕時計型の装置で、手首に装置本体、指に血中酸素飽和度を計るセンサー、鼻にいびきや無呼吸・低呼吸を調べるセンサーを取り付けます。
(3) ―スリープテストで陽性が出たら精密検査であるPSG(終夜睡眠ポリグラフー)を行ないます。

  PSGとは、鼻呼吸センサー気道音センサーによる呼吸状態及び経皮  的センサーによる動脈血酸素飽和状態を終夜連続して測定します。

(4)―診断決定後の治療
  C−PAP(シーパップ)鼻にマスクをつけ、一定の圧力をかけた空気を鼻から送り込んで気道を広げる。*医療機関からの貸し出し時に健康保険が適用されます。
 

・ 日常生活での注意
   肥満のある人は、まずは減量が大切です。体重を減らすだけで無呼吸が起こりにくくなります。重力で舌根等が落ち込むのを防ぐ為に寝る時は横向きで寝るようにしましょう。またお酒を飲んで寝ると喉の筋肉が弛緩して無呼吸が起こりやすくなります。また多くの睡眠薬にも筋弛緩作用がありますその為、寝酒や自己判断での睡眠薬の使用は厳禁です。

村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
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