◆村上記念病院糖尿病新聞 2009年7月10日発行
食後高血糖と動脈硬化
検査室

1. 食後高血糖とは

糖尿病は「血糖値が高くなる」病気です。糖尿病でない健康な人でも食事を取れば血糖値はいくらか上がります。しかし糖尿病の患者さんや糖尿病予備群・メタボリックシンドロームの段階の人でも食後の血糖値の上がり方が激しい場合があり、空腹時高血糖とはまた別の問題がクローズアップされています。

2. 糖尿病患者さんにおける食後高血糖の重要性

空腹時血糖やHbAIcが基準値に近いほど合併症が起きにくいが、それだけでは合併症の発症・進行を完全には抑えられない。その原因の一つが「食後高血糖」である。
糖尿病のさまざまな合併症の中でも太い血管に起きる合併症「動脈硬化」には、食後高血糖が大変強い影響を及ぼしており、食後高血糖を積極的に治療することが奨励されている。

3. 糖尿病予備群・メタボリックシンドロームの人における食後高血糖の重要性

太い血管の合併症である動脈硬化は、まだ糖尿病になっていない糖尿病予備群やメタボリックシンドロームの人でも発症・進行する。その原因の一つが「食後高血糖」である。
空腹時の時の血糖値がたとえ正常でも、食後に血糖値が上昇しやすい人は、そうでない人に比べ動脈硬化が進みやすい。

4. 食後高血糖は動脈硬化の独立した危険因子

糖尿病になる前の糖尿病予備群やメタボリックシンドロームの段階から、早期に食後高血糖を見つけて是正することが、心筋梗塞や脳梗塞を防いで守り、身体の障害のない生活を続けるための大きなポイントです。
動脈硬化の進行を速くする原因は、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病そして喫煙です。これらの危険因子はどれも治療や是正が可能です。せっかくの人生ですから、短命で終わったり身体の障害で不自由をしないよう、こういった危険因子はしっかり取り除くようにしたいものです。


村上記念病院糖尿病チーム
村上記念病院
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