7月から8月にかけて、院内の全体研修として医療安全について、MSD製薬 高木洋平氏に講師をお願いしました。
せん妄は、強い寝ぼけの様な症状で、急に起こります。せん妄には、3因子があります。まず、
- 直接因子・・身体の状態、薬、手術等 引き金となるもの
- 準備因子・・高齢、認知、頭部疾患の既往等 起こりやすい素因
- 誘発促進因子・・身体的精神的苦痛、環境の変化 促進、蔓延化させるもの
直接因子は、ライター、準備因子は薪、誘発促進因子は油にあたります。
入院は、日常の環境と違うため、特に高齢者では、せん妄が起こりやすい環境となります。そこで、医師、看護師、OT、PT、薬剤師等の他職種によるせん妄予防戦略が重要になります。症状が出てからではなく、出ると予想されるので、医師は、せん妄時の指示を出しておく、看護師は指示をもらっておく、薬剤師は助言をするという具合です。家族は、せん妄についてわかっていないことがあるため、パンフレットを渡して、ゆっくりわかってもらうようにしていきましょう。
次に、不眠について。不眠症とは、夜眠れずに日中支障がある人。加齢に伴う睡眠時間は減ってくるのが普通です。加齢で、寝床に入っても眠れない時間も増えます。
不眠症の症状には4つあります。
- 入眠障害・・なかなか寝付けない
- 中途覚醒・・夜中によく目が覚める
- 早期覚醒・・朝早く目覚める
- 熟眠障害・・ぐっすり眠った気がしない
眠りたい時に覚醒が睡眠を上回った時に不眠が起こります。もし不眠だと思われる方はそのタイプを知っておきましょう。生活習慣を見直したり、改善してもだめなら、医師に相談しましょう。
快眠のための工夫として
- 寝る時刻や睡眠時間にこだわりすぎない。
- 寝床は眠るためだけに使う。
- 寝る前には刺激物は避ける。
- 睡眠薬の代わりの寝酒は避ける。
睡眠薬の問題点は、薬そのものが転倒のリスクになるものではありません。不眠症があって、薬を適切に使用していない人はリスクが高くなります。転倒防止については、入院前に安全な履物について説明したり、排尿パターンを聞いたり夜トイレにつき添ったり、眠剤を使用したら翌日薬があっているかの確認が必要です。